Retrospective Greater China Tour

大型フェス + 7都市をまわる中華圏ツアーを終え、帰国しました。

初めて訪れる土地で、言葉も通じない、誰も私のことを知らない人々の前でどう表現できるか、何を伝えられるか、自分と闘い続けたツアーでした。

大きな心境の変化もあり、記憶が薄れてしまう前にこちらに投稿したいと思います。

 

ツアー初日42日は台湾の野外フェスSpringScreamに出演しました。これは4日間に渡って行われる台湾最大級の音楽フェスで、世界中から約200組の出演者が集まります。

私は1日目19:3020:30という好条件のタイムテーブルとなり、世界中のバンドと並んで出演できることにドキドキしていました。

昼頃会場に到着し、フライヤーを600枚(!)配布しながら、いろいろな出演者を見ていました。

今振り返ると、この日私の演奏は非常に難しいものがありました。

ステージとステージの距離が近く、私のようなアコースティック音楽は他ステージの大きな音に飲み込まれてしまう感覚があったことや、リハーサルが無く、転換時間に機材や外音確認ができなかったことの不安など、フェス形式での演奏に不慣れなため思うようにできないことがありました。

また、正直に書くと、初めてのバンドレス演奏に自信が持てなかった、ということもありました。私はまだ未熟であると思うし、多くの機材を操ることに馴れていなかったためです。

 

他ステージを見ていると、盛り上がっていたり、物販が飛ぶように売れているバンドが大勢いて

「どうして私はうまくいかなかったのかな?」と劣等感を感じたり、疎外感を勝手に感じ無駄に卑屈になってしまったり、悔しさがありました。これから一人のツアーが始まる寂しさもありました。

 

翌日は9時間程バスに乗り台北へ移動。

前衛的でかっこいいバー、Vicious Circle で演奏しました。

一時間程演奏した後、あるお客さんが「感動しました」と話しかけてくれて、

「今日初めてこのバーに寄ったんです。こうしてあなたの音楽が聴けたことに縁を感じました。」と言ってくれました。

昨日が昨日だっただけに、自分の音楽を良いと言ってもらえたことが本当に嬉しかったし、少し自信が持てた瞬間だったなあと思います。

 

マカオでのライブも同様に、自分が認められた場所だったと思います。

この日の前座はマカオ在住のシンガーソングライターEvaTanaさんと、ChaiKefuさん。

お二人が本当に素晴らしく、姿勢も独創性も目指すべきシンガーソングライターだと思いました。

前座のお二人がアコースティックの優しい時間と雰囲気つくってくれたため、その後で演奏し易かったし、来ていたお客さんたちも私たちのような音楽を愛してくれており、アットホームを感じました。

ライブハウスのオーナーさんや関係者さんとも話したけれど、自分を受け入れてくれたことが嬉しかったです。

 

「弾き語りは、数ある音楽表現の中で最も難しいと思う。」私よりずっと音楽に詳しい、大学のある先輩はそう言っていました。私もそう思います。

弾き語りはバンドとは違い初見の迫力は欠けるし、外へ外へと放出するエネルギーよりも、内へ内へ篭るエネルギーの方が強い。だから、聴き手が意識的に耳を傾けないと聴けない音楽だと思います。

私は今までたくさん内へ篭ったシンガーソングライターを聴いていたと思うし、他者の無理解・無関心に苦しんだシンガーソングライターもたくさんいるのかなと思います。

 

でもこの日は音楽を共有できて本当に良かったです。マカオに行って良かったです。

終演後、ChaiKefuさんとはお互いに持っている機材のことを説明し合ったりして、楽しかったです。そういう会話ができるのもシンガーソングライター同士の交流の一つかなって思いました。

 

その後、武漢VOX、重慶NUTCLUB、西安MIDI MUSIC CLUB3ヵ所はワンマンで周りました。

武漢VOX500名ほどのキャパシティの大きなライブハウスで、びっくりでした。日本だとこんな大きなところで単独ライブできない笑

日に日に自分の中で自分の音楽が血肉になっていく感覚がしていました。最終的には息するように歌い、ギターを弾くシンガーソングライターになりたいと思うようになりました。

でも私はまだまだです。

自分にあったものは達成したい目標と、持ち前のバイタリティ。

けれど、時に一人でステージに立つことが怖いと思うこともありました。

毎日の移動距離もハードで、移動してライブ、少し寝てからまた移動して・・・という状況も体力がついていかず、気持ち的に辛いと感じる時もありました。

 

武漢VOXでのライブ後、武漢に住むある有名な中国人ミュージシャンに会いに行きました。彼のキャリアは長く、数年前からワールドツアーも成功している方。

私の感じている気持ちを話しました。

ソロ活動に自信がないこと、

過酷なスケジュールで体力的に一杯一杯になってしまっていること・・・
彼は誠実に、ゆっくりと答えてくれました。「音楽は音楽」と言っていたことを忘れません。

 

私は一人で活動するシンガーソングライターたちに敬意を表します。彼らの挑戦や度胸に憧れるし、私もそうなれたらいいなと思います。

きっと世界中に、まだ私は知らないけれど、凄い弾き語りをする人がいるんだろうな。

これからヨーロッパ、イギリスに向かいます。

どんな旅になるのだろう?
楽しみながら、自分の音楽と向き合いたいです。

 

4月12日 礒尾奈加子